旧暦ではありますが、本日2月28日は利休様の祥月命日です。
今の暦に直すと大体1ヶ月ぐらい遅くなるので、三千家では3月下旬に利休忌の行事が行われています。(表千家:3月27日、裏千家/武者小路千家:3月28日)
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茶の湯は敷居が高いとか、点前手続きが複雑だとか、窮屈なイメージがありますが、利休様の教えを和歌にして歌った利休百首の中にはこのような歌があります。
茶の湯とはただ湯を沸かして茶を点てて、飲むばかりなる事を知るべし
昭和48年(1973年)に刊行された井口海仙宗匠著(裏千家13代圓能斎の三男、14代淡々斎の弟)の『利休百首』の中には、
「茶の湯とは、決して億劫な事でも、窮屈な事でも、またむつかしい事でもない。ただ湯を沸かして茶を点て、飲むだけのことでさる。一口に言えばなんでもない事である。」
と、書かれています。が、その続きは、
「しかし、口ではそう一言でいえても、さて実際に行なってみるとなかなか行い難いものである。」と。
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今日では「七則」といって、茶道を勉強する人にはよく知られている茶の湯の教則があります。
茶は服の良きように点て
炭は湯の沸くように置き
花は野にあるように
夏は涼しく冬暖かに
刻限は早めに
降らずとも傘の用意
相客に心せよ
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『南方録』に書かれている利休様の話が基となって江戸中期頃に定着したものです。
どれを取ってみても当たり前の事ですが、利休様はこれらのことを「秘事」と言われたそうです。
当たり前のことを当たり前にやる。
きちんと丁寧に、心を込めて精一杯に行う。
なかなか出来るようで出来ない難しいことですが、目の前にある一つ一つの事に取り組んでいくしかなさそうです。
祥月命日にあたり、利休様の言葉を深く胸に留めてみるのでした。